子どもの勉強を邪魔しているのは?
子どもの勉強を邪魔しているのは、本当にゲームやテレビでしょうか?
「ゲームばかりして勉強しない」
「YouTubeばかり見ていて心配」
保護者の方から、こうしたご相談をいただくことは少なくありません。
確かに、目の前にある娯楽は気になりますよね。
ただ、現場で子どもたちを見ていて強く感じるのは、
子どもを勉強から遠ざけている原因は、もっと別のところにある
ということです。
★勉強への“最初のイメージ”は、どこで決まるのか
小学校に上がる前、5歳くらいの子どもに対して、
「小学生になったら勉強しないといけないよ」
「宿題たくさん出るよ、大変だよ」
と声をかける場面、よくありますよね。
一見、当たり前の会話のように思えます。
しかし、ここに一つ大きな落とし穴があります。
それは、
子どもはまだ“勉強”というものを知らない状態だということです。
つまり、本来はニュートラルなはずの「勉強」という言葉に対して、
* しんどいもの
* 大変なもの
* やらされるもの
というイメージを、先に大人が与えてしまっているのです。
この“最初のラベリング”は、想像以上に強く残ります。
実際、塾に来る低学年の子の中には、
すでに「勉強きらい」と言っている子もいます。
しかし冷静に考えると、
まだ好き嫌いを判断できるほど経験していないはずです。
にもかかわらず嫌いだと感じているのは、
自分の体験ではなく、周囲の言葉の影響が大きいと考えられます。
★「勉強は役に立たない」という言葉の影響
もう一つ、見逃せないのがこの言葉です。
「勉強なんかできても将来役に立たない」
この発言は、子どもの意欲を大きく削ぎます。
なぜなら、子どもにとって勉強は
「しんどいこと」+「意味がないこと」
になってしまうからです。
人はもともと、
「意味が分からないこと」や「分からないこと」を考えるのが苦手です。
そこにさらに「役に立たない」と言われれば、
やらなくなるのは自然な流れです。
★そもそも、何が将来役に立つのかは分からない
ここで一度、立ち止まって考えてみたいのですが、
どの勉強が将来役に立つのかを、私たちは本当に断言できるでしょうか。
例えば、
* これからは理系が有利
* プログラミングが重要
* データサイエンスの時代
といった話はよく耳にします。
しかし、これらも時代とともに変化します。
AIの発展によって価値が変わる可能性も十分にあります。
一方で、
* 哲学
* 心理学
* 人間理解に関わる分野
といったものが、今後より重要になるかもしれません。
あるいは、医療のように長く求められ続ける分野もあります。
つまり、
「何が役に立つか」は、後になって初めて分かるものです。
それを、大人が限られた経験の中で
「これは無意味」と決めつけてしまうのは、少しもったいないことです。
★勉強を“特別扱いしすぎている”という問題
もう一つ重要なのは、
勉強に対する扱い方です。
例えば、野球が好きな子が一生懸命練習していたとき、
* 「そんなの将来意味ないぞ」とは言わない
* かといって過剰に持ち上げるわけでもない
自然に応援しますよね。
勉強も本来は同じでいいはずです。
しかし実際には、
* やらないと叱られる
* やると過剰に評価される
* 成績で価値が決まる
といったように、
必要以上に特別なものとして扱われています。
これが、子どもにとっての心理的ハードルを上げてしまいます。
★「勉強できる=かっこいい」という価値観
最近は少しずつ変化も見られます。
例えば、QuizKnock のように、
知識を持っていることや、
問題を素早く解くことが「かっこいい」とされる場も出てきました。
これはとても良い流れだと思います。
* 足が速い → かっこいい
* スポーツができる → すごい
* 勉強ができる → かっこいい
こうした価値が並列に並ぶことで、
子どもにとって勉強は「やらされるもの」ではなくなります。
まとめ:子どもを遠ざけるのは“環境”である
子どもが勉強から離れていく原因は、
ゲームやテレビだけではありません。
むしろ、
* 勉強は大変だという先入観
* 勉強は意味がないという言葉
* 過剰な評価や否定
といった、大人の作る環境の影響が非常に大きいと感じています。
だからこそ、
* 勉強をけなさない
* 軽々しく価値を断定しない
* 他の活動と同じように扱う
この3つを意識するだけでも、
子どもの勉強への向き合い方は大きく変わります。
勉強は、本来特別なものではありません。
スポーツや遊びと同じように、
その子の可能性を広げる一つの手段です。
その前提を、大人がどう扱うか。
そこが一番大切なのではないかと思います。
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